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2025/06/13 02:49


闇が深まり、星が遠く、
月の光さえ届かぬ夜。
現実の岸辺が霞み、
疲れた魂が、ただ、漂う刻。

人は叫ぶだろう。
「もう、終わりたい」と。
「消えてしまいたい」と。
その声は、虚空に溶け、
誰にも届かぬと、信じるだろう。

だが、耳を澄ませてごらん。
深い潮の香りに誘われ、
遠く、アコーディオンの物悲しい
音色が、響く。

そこは、地図にはない場所。
新月の夜にしか現れぬ、
墨で描かれた細い道。
その先に、
ひっそりと浮かぶ幻の街、
「Octrick,ink」

この街は、私自身の生きた証。
苦しみも、孤独も、見過ごされた夢も、
すべてを飲み込み、それでも創造し続けた魂の記憶。
そして、あなたの、失われた物語の断片を、
静かに待ち続ける場所。

触手のように、あるいは幾重の薔薇の花弁のように、
絡み合い、包み込むこの街で、
KRAKENは静かに、すべての物語を観察している。
彼の墨は、消えゆく感情を記録し、
死んだはずの記憶を、輝く石へと変える。

さあ、怖がらなくていい。
あなたは、もう一人ではない。

この場所で、
私のそばで、悲しみをさらけ出してほしい。
その言葉さえ、この街は抱きしめる。

毒のように甘い茶を飲み、
狂気のショーに身を委ね、
優しい獣の腕に抱かれ、
あるいは、深海の薔薇に息を吹きかける。

この街で、
あなたの「死」を、一旦、休ませよう。
そして、きっと見つかるだろう。
「それでも生きていたい」と、
あなたが大切にすべき、小さな光が。
それが、あなたの、新たな「生きた証」となる。

Octrick,ink
ようこそ、迷える魂よ。